アレクセイ・クズネツォーフ (Alexey Kuznetsov)
今年9月に全ロシア古武術連盟の会長、アレクセイ・クズネツォーフ氏が来日した。その際、日露善隣協会会長、田中健之氏の自宅でクズネツォーフ氏がロシアから持参したビデオを見ながら座談会を開いた。スクリーンには、棒やヌンチャク、拳銃を持つ男性選手たちからの攻撃をかわし、彼らを周囲に放り投げていく細くて可愛らしい女性選手が映し出されている。5歳で空手を始め、合気道と古武術の段位を持つこの女性、クズネツォーフ会長の長女である。
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Q: アレクセイさん、現在ロシアで武道はどのくらい人気がありますか?道場の数は?
A: 武道自体の人気は現在とても高いです。道場もほとんどの学校に設備されています。ウーシュー(気功)も合気道もありますが一般的なのは空手ですね。学校以外にも、独立した道場も数多くあります。
現在、10代男性のほとんどが何らかの格闘技、主に日本や韓国の武道の一種を習っています。
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Q: ロシアの伝統的な格闘技、サンボと日本の武道(柔道、空手、古武道など)の人気を比較してみると、どうでしょうか?
A: サンボと比較するのは難しいことです。サンボというスポーツは国から助成を受けており、発展するための基盤が既に確立されており非常にしっかりしています。サンボの競技チームはオリンピックでは柔道の試合にも出場しています。道着を着替えて畳に出るだけの話ですから。我が国のサンボ選手たちはオリンピックやその他の国際大会などで上位入賞などの成績を残しています。
国が選手と指導陣を育成する条件を整えたからこそ結果が出ているのです。武道は、国家レベルの高い支持は受けているサンボとは違いますが、それでも非常にファンが多くいます。これは、オリンピックの競技種目、言い換えるならば「高い成果を得る為のスポーツ」ではなく、「健康のためのスポーツ」を多くの人々が求めているということでしょう。
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Q: あなたが連盟会長を務めている古武道や古武術の人気はどの程度なのでしょうか?
A: 既に高い人気を得ていますが、これはまだ上がり始めたばかりと言えるでしょう。今年の夏、本連盟は様々なテレビ番組等のメディアで演武を行いました。演武は、ショーとしても完成度が高く、熱練した技術を披露する為、これまでも、「モスクワの日」などのスポーツ大会やフェスティバルの開会式など、イベントにおける演武の依頼を受けてきました。現在は、古武術のドキュメンタリーをテレビでシリーズ放送する計画が進行しています。その番組が放送されれば、古武術の認知度も更に飛躍的に上がることでしょう。
Q: 日本での撮影予定はありますか?
A: 実は今回も撮影する予定でしたが、カメラの機材出国手続きが間に合いませんでした。人生は早いのでやりたいこと全てを間に合わせるためには努力しないといけないということですね(笑)。特に現在のロシアでは時間の流れが早く感じます。ロシアに「今できないことは一生できない」ということわざがあります。私たち家族は、時間不足の忙しくてハードな人生の中で「一致団結」している状態が好きなのです。
とにかく、次回来日した際には撮影も行う予定です。
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Q: 古武道を通して日露関係はどうやって発展していけるでしょうか?
A: 現在、日本、ロシア間の古武術に関する接点はまだまだ足りていません。これまで、ほとんどのコミュニケーションは個人、偶然の訪問者経由といったレベルでしか行われていませんでした。ロシア人にとっての情報源は日本やアメリカから入ってくるビデオテープ程度のものしかなく、名人(達人)がロシアに訪問する機会もまだ一度すらありません。個人レベルでの接触には限界があり、もっと公的で、効果的な関係を築きたいと思います。
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ロシアには、古武術をもっと勉強したいと求めている人が何千人もいます。そして古武術をきっかけに日本の文化をもっとよく知りたいと望んでいる人も数多くいるのです。
現在、ロシアの全ての武道は組織化され、国の認可を受け、ある程度コントロールされています。日本でも同じような連盟や組織があるかもしれませんが、現段階で我々が日本の古武術の関係者と接触する手段は個人的な知人を頼ることのみで、彼らはそういった組織に属していないのです。
現在ロシアは日本ブームにあり、その一旦としてロシアと日本の武道連盟が連携を取って行ければ、道場に足を踏み入れるロシア人の数も増加すると思います。武道人口の増加に伴い、日本の武道や文化に潜む哲学により深く関心を持つ人も増え、文化を超えた理解へと繋がることでしょう。日本とロシアの武道連盟を結び付けることが両国の友好を支える上でも重要な課題だと考えています。
東京、2006年9月8日 |